長く愛せる食器棚とは?編集部員が食器棚を一から選んでみました【後編】

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一生になんどもある買い物ではないだけに、勝手がつかみにくい「食器棚選び」。そこで、当コラムの編集部員がAYANOのショールームに行き、プランナーの説明を受けながら実際に食器棚を一から選んでみました。
下キャビネットの仕様を決めた中編に続いて後編では、いよいよ上キャビネットの仕様とカラーリングを決め、理想の一品を完成させます。果たして「長く愛せる食器棚」とは?

●シリーズ記事
・食器棚の「タイプ選び」とは?編集部員が食器棚を一から選んでみました【前編】
・使い勝手は「サイズ」で決まる。編集部員が食器棚を一から選んでみました【中編】
長く愛せる食器棚とは?編集部員が食器棚を一から選んでみました【後編】(本記事)

 

登場人物紹介

編集部員・A子
東京在住・34歳。当コラム記事の編集を担当。家族は夫と4歳の子ども。このたび分譲マンションを購入し、それを機に新しく食器棚を買うことに。「おしゃれで収納力のある食器棚がほしいです」。

綾野製作所 東京ショールームプランナー・金子さん
ショールームにて家具のプランニングを担当。プランナー歴10年。「お客様からのヒヤリングをもとに、ライフスタイルにぴったりマッチした家具をご提案します」。

 

便利な「引き戸」とスタイリッシュな「板戸」

金子:下キャビネットの仕様が決まったので、次は上キャビネットの仕様を決めます。とはいっても上キャビネットは基本的に「カウンタースペースがある」タイプか「カウンタースペースがない」タイプの2択になるので、下キャビネットほど決める項目は多くありません。

スペースがあるタイプ

引き戸+オープン(FSタイプ)
引き戸+オープン(FSタイプ)
開き戸+オープン(F)
開き戸+オープン(F)
フラップ扉+オープン(FO)
フラップ扉+オープン(FO)

スペースがないタイプ

ガラスの開き扉
引き戸+オープン(FSタイプ)
開き戸+オープン(F)
板の扉(A)


金子:
カウンタースペースがあるものは家電の設置や作業用のスペースとして使えて、カウンタースペースがないものは食器や食品の収納力に優れています。さらにに選んでいただきたいのが、食器棚の扉のタイプです。扉は、半透明のガラス扉を左右に動かして開ける「ガラス引き戸」タイプか、板材の扉を手前方向に開ける「板戸」タイプの2択になります。

引き戸引き戸
板戸板戸

金子:左が「引き戸」、右が「板戸」。使い勝手も見た目も変わります。

A子:それぞれどんな特徴がありますか?

金子:引き戸タイプは、扉をよける必要がないため、スムーズに開け閉めが行えます。一方で、半透明とはいえガラスの扉なので、なかの収納が透けて見えます。それに対して板戸タイプは表面が化粧板なので、引出しなどと地続きのフラットな見た目が実現します。そのかわり開け閉めする際には扉をよける必要があり、使い勝手の面では引き戸におとります。要は使い勝手をとるか、見た目をとるかですね。食器棚では引き戸タイプが圧倒的に多いですが、最近は見た目を重視して板戸タイプを選ぶお客様も増えています。

A子:キッチンの通路の広さや動線にもよってきそうですね……。ちなみに引き戸のすりガラスの色は、選べますか?

金子:ホワイトのすりガラスとブラックのすりガラスの2種類からお選びいただけます。

A子:それでは、うちは板戸タイプだと動線的に少し邪魔になりそうだし、明るい色あいにしたいので、ホワイトの引き戸にしますね。

金子:承知いたしました。それと上キャビネットでもうひとつ決めていただきたいのが、「上置」についてです。

A子:上置とはなんでしょう?

金子:食器棚の一番上に置き、天井とのすき間をうめる収納のことです。上置は1cm刻みで高さを調節できるため、すき間を最小限に抑えられます。もし天井の高さが220cmの場合、上置によって全体の高さを218センチくらいにするのが一般的です(※)。

※天井が水平ではない可能性もあり、通常は天井の高さより少し余裕をもたせます。

もちろん上置自体が収納なので、中にものをしまえます。そしてご注目いただきたいのが、耐震機能も付属していることです。

「上置き」の例。耐震性にも関わる、重要な選択肢です「上置」の例。耐震性にも関わる、重要な選択肢です

A子:え、耐震機能ですか!?

金子:はい。上置の内側後方に耐震パネルを内蔵していて、それを上に伸ばし、天井とのすき間をうめて固定することで、転倒の危険性を低減させられます。

対面キッチンの場合、下キャビネットは死角に

A子:それは便利ですね。もはや上置を置かない手はないのでは?とも思ってしまいます。

金子:ただ、その分コストがかかります。上置を置くプランと置かないプランでは、トータルで数万円の違いが出るので、あえて置かないお客様もいらっしゃいます。置かない場合は、突っ張り棒やL地金具といった耐震パーツを、ご自身で設置いただく形になります。そこはコストとのかねあいですね。

ちなみにAYANOでは、マンションのキッチンで多い220cm高の天井にあわせた「高さ217cm」の食器棚もご用意しています。こちらであれば、上置きを置かずとも、すき間をほぼ埋められます。ただし上置がないため耐震パネルがなく、また天井とのすき間が2〜3cmとなると、突っ張り棒もL字金具も取りつけられません。したがって食器棚は固定できないのですが、傾くと天井に引っかかるため、転倒は抑制されます。

A子:難しいところですね……。ひとまずは耐震性能と収納力、そして天井までビシッと埋まる気持ちよさを優先し、上置ありにしようかな。

金子:では念のため、上置がありとなしの両タイプで見積もりを出しますね。

これでサイズや形はひとまず決まったので、いよいよ食器棚全体のカラーの選択になります。カラーは標準カラー10色と、有料カラー60色の、計70色からお選びいただけます。単色タイプだけでなく「木目柄」や「セラミック柄」「つやあり」「つやなし」など、さまざまなバリエーションがございます。有料カラーをお選びいただいた場合、定価ベースで5万円前後プラスされるイメージです。

ショールームでは、実際の風合いも確認しながら選べます。

ショールームでは、実際の風合いも確認しながら選べます
ショールームでは、実際の風合いも確認しながら選べます

A子:これだけ選択肢があると、ちょっと迷ってしまいます……。

金子:シンクの収納扉の色にあわせるのが一般的ですが、ほかにも壁や床、冷蔵庫、建具の色にあわせてもいいですし、まったく違う色をアクセントに使うのもありです。これに関しては、ご自身の好みになりますね。

ただひとついえるのは対面キッチンの場合、食器棚をリビングからみると下キャビネットは手前のシンクに隠れるので、見えるのは上キャビネットだけだったりします。そのうえキャビネットも、半透明の引き戸タイプの場合、色が入るのは上置部分だけです。したがって色の影響度は、間取りによっては意外と大きくなかったりします。ですので、色をできるだけ目立たせたいという理由で、上キャビネットを板戸タイプにするお客様もいらっしゃいます。

A子:なるほど。うちは家電を白で揃えていて、壁の色も白系だったりするので、標準カラーの単色ホワイトにしようと思います。ただ、有料ですがベージュっぽい木目調のカラーも気になるので、こちらも選択肢に入れてください。

金子:承知いたしました。これでひととおり選んでいただいたので、さっそくレイアウトイメージとお見積もりを出しますね!

選択肢が多いほど「理想の一品」になりやすい

金子:こちらが、選んでいただいた仕様を反映したレイアウトイメージになります。上置あり・上置なし×2色の、計4パターンをシミュレートしました。こちらです。

白色ペースの「上置き」有バージョン白色ペースの「上置」有バージョン

白色ペースの「上置き」がないバージョン白色ペースの「上置」がないバージョン

木目調も爽やかなイメージ/「上置き」有木目調も爽やかなイメージ/「上置」有

同じく木目の「上置き」なし同じく木目の「上置」なし

金子:ちなみに、ショールームでご案内できる価格はあくまでメーカー参考価格ですので、販売店様によってはこれより安くなる場合があります。

組み上がった実際のイメージとともに、価格や細部の仕様が確認できます組み上がった実際のイメージとともに、価格や細部の仕様が確認できます

A子:こうして並べてみると、価格がなにによってどれだけ変わるのかがつかみやすいです。ちなみに食器棚の価格はメーカーによって結構変わりますが、なにが違うのでしょう?

金子:まず変わるのが、耐久性の部分です。特に大きいのが、引出しや引き戸に使う「レール」ですね。レールの品質がよくないと、年数が経ったときに開け閉めがスムーズにおこなえなくなったり、ソフトクローズ機能が損なわれてしまいやすいんです。ほかにも板材の厚みや構造、細部の処理の仕方などで、耐久性は変わってきます。そうした耐久性は、基本的には価格と比例すると考えていただいてまちがいありません。

A子:かんたんに買い直せるものではないので、耐久性は大事ですよね。

金子:もうひとつ価格によって変わるのが、バリエーションの豊富さです。今回お選びいただいたように食器棚を選ぶ際には、全体のサイズはもちろんのこと、カウンターの高さから奥行、各アイテムの仕様や大きさまで、無数のバリエーションがあります。お選びいただいたように、ゴミ箱の見せかたひとつをとっても、さまざまな選択肢があります。

当然ながら、選択肢が多いほうが、ライフスタイルにフィットした食器棚を見つけやすくなります。一方で選択肢をたくさん設けることは、かんたんではありません。なぜなら、コストがかかるからです。バリエーションが多ければ多いほど、工場のラインもたくさん用意しなくてはいけませんので。その点AYANOは、耐久性においてもバリエーションの豊富さにおいても、最高峰であると自負しています。

A子:そう考えると、この価格は決して割高ではなさそうですね。さっそくこちらを家に持ち帰り、夫に提案してみます!ところで、食器棚の人気の傾向みたいなものはありますか?

金子:やはり全体でみるとスタンダードタイプを買われるお客様が一番多いのですが、最近は見た目を重視して、フラットなルックスの縦型収納タイプや板戸タイプ、ハーフミラータイプをお選びいただくお客様も増えています。インスタグラムなどのSNSで家を見せる機会が増えていることも一因でしょうね。

実際のお客様の声をお聞きしてきた経験から生まれるリアルなアドバイス実際のお客様の声をお聞きしてきた経験から生まれる、リアルなアドバイスだと思ったA子です

A子:なるほど、そこは“時代”ですね。では最後にズバリ、「長く愛せる食器棚を選ぶコツ」を教えてください。

金子:長く愛用するには当然見た目も重要ですが、それと同じくらい、耐久性や使い勝手も重要になります。したがって、月なみな言葉にはなりますが、見た目と耐久性・機能性のバランスがいい家具を選ぶのが、一番のコツになるのかなと。いいかえれば、「いかに妥協のない家具選びをするか」です。手前味噌にはなりますが、その点AYANOは選択肢も多く、妥協のない食器棚選びが実現しやすいブランドです。これを読んでいるみなさまも、ぜひ一度ショールームに足をお運びください。

後編まとめ
・上キャビネットは、機能性バツグンの「引き戸」か、スタイリッシュな見た目の「板戸」かを選べる。
・上置を置くにはコストがかかるが、天井までのすき間を埋められるうえに、耐震機能も加えられる。
・長く愛用するには、見た目・機能性・耐久性の3つをかねそなえていることが大切。


●シリーズ記事
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長く愛せる食器棚とは?編集部員が食器棚を一から選んでみました【後編】(本記事)


※ショールームでは、マスク着用、手指の消毒、検温などを行ったうえで業務を実施しています。
※個人情報保護の観点から、取材内容を一部再構成してお届けしています。

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