整理収納のプロ西口理恵子さんのリアル!食器棚の収納【実践編】

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整理収納アドバイザーの西口理恵子さんによる、食器棚収納術。前回は、食器棚の収納【心構え・準備編】をお伝えしました。そして第2弾の今回は、いよいよ【実践編】をお送りします。

兵庫県芦屋市のご自宅のキッチンをリモートで拝見しながら、実際にどのような収納を行っていらっしゃるのかについて、かなり詳しくお聞きすることができました。 すぐに真似できる方法が満載です。整理収納のコツを知って、キッチンを美しく整えましょう!

前編はこちらから

食器棚図-1

西口さんの食器棚図

 

一番よく使うものは、目の高さの位置に置く

──今回は、西口さんが、ご自宅のキッチンで実際にどのような整理収納を行っていらっしゃるかについて教えていただきたく思います。

はい、よろしくお願いします。まずは、食器棚の収納からお伝えしますね。

食器棚は、扉を左右に動かすだけで開閉できる引き戸タイプを使っていて、前回お話した通り、一番よく使用するものは目の位置の高さに置いています。上キャビネットの右の戸のなかの、下方3段目が、そのエリアに当たります。

そして、下キャビネットの2段目の引出しには、子どものお菓子用のプラスチックの食器を収納。この位置はうちの子どもたちの目線の高さなので、子どもが自分でものを出し入れしやすいゴールデンゾーンなんです。

また、同じ引出しに、お茶碗や深めのお皿も入れています。理由は、隣に炊飯器を置いているので、すぐにご飯をつげるようにするためです。

──お子さんが自分で食器を取り出せるようにしていらっしゃるんですね。それは、お子さんがいるご家庭にとっては参考になる情報です。

そうですね。家族みんなが使い勝手よくするためには、上キャビネットと下キャビネットをうまく使い分けることが大事です。

そして、下キャビネットの引出しにはいろいろなものを煩雑に入れてしまいがちですが、そうするとうまく活用できません。

お客様のお宅でよく見かける例としては、下キャビネットの引出しに、違う大きさのお皿を重ねて入れているケース。たとえば、大きなお皿の上に小皿をいっぱい並べていたり(笑)。そうじゃなくて、食器を重ねるときは、形が似ているものを数枚までと決めておくといいですね。

揃えた皿ay

それから、食器洗い乾燥機を使うかたは、対面に食器棚がある場合、下キャビネットの引出しに食器を入れると動線がスムーズです。一歩も動かずに食器を片付けられますから。反対に、上のほうの棚にしまおうと思うと、結構しんどいです。

 

収納ボックスのサイズは、ミリ単位で計ることを忘れずに

──上キャビネットに何を収納しているのか、全体の様子を教えて下さい。

一番上の棚には、時々しか使わない食器などを入れています。
そして、左の戸の下方3段には、飲み物用の食器を。カップ&ソーサーは、さっと取り出してすぐに使えるよう、ひとつひとつをセットした状態で収納しています。
カップとソーサーを別々の場所にしまうと、ソーサーをほかのところに取りにいかないといけないなど、新たな動きが必要になりますよね。そういう不便な状態にしないためには、前回お伝えした通りグルーピングが便利なんです。

カップソーサー

──それでは次に、下キャビネットに収納しているものについても詳しく教えて下さい。

電子レンジの下部分が最も開け閉めしやすい位置で、一番上の引出しは、カトラリー入れと決めています。スプーンやフォーク、そしてお客様用のコースターやお手拭きなどを、種類別に仕切って入れています。

2番目の引出しには、前述したように、子ども用の食器とお茶碗などを。そして3番目の引出しには、使用頻度が月に1回以下の食器を。そのなかに月に2回以上使うものがあれば、使用頻度が高いというカテゴリーに入るので、上のほうの引出しに移動させます。

一番下の引出しは保存食入れです。ボックスで仕切りを作って、「スープやお茶などの飲み物系エリア」「カレーやパスタソースなどのレトルトエリア」「缶詰などの長期保存できるもののエリア」という風に区分けして保管しています。

保存食ay

ここで、私がキッチン収納で大切にしていることをお伝えしておきたいです。それは、ボックス選びに力を入れること!
引出しのなかを区分けするためのボックスは、購入する前に、設置したい場所の幅、奥行き、高さをミリ単位で計ることが大事です。このサイズを、なぜか皆さん、計らへんのです(笑)。

私は「シンデレラフィット」という言葉が流行る前から、シンデレラフィットさせていました。ボックスを設置するときは1ミリも2ミリも無駄をしたくないですから。 「だいたいこれぐらいの大きさでいいと思う」と、アバウトな寸法でボックスを買うのはやめましょう。自分を信じずに、数字を信じましょう!

 

ものが迷子にならないよう、ラベリングを

──今説明して下さった、下キャビネットの引出しの左隣に、もう4段引出しがありますね。そこには何が入っているのですか?

一番上の引出しには、漢方薬や薬が入っています。何がどこにあるのかすぐにわかるように、ラベルを見せて収納しているのもポイントです。

ラベル

それから、2番目の引出しには、子ども用と大人用のコップが。理由は、この場所であれば、子どもが自分で取り出せるので。つまり、自分でコップを取ったあと、真向かいにある冷蔵庫から麦茶を取れば、そこで麦茶を注げますよね。
さらに、麦茶の収納場所には「子ども用ドリンク」というラベルシールを貼っていて、麦茶をほかのところに置かない仕組みも作っています。

子どもが自主的に動けて、尚且つ、ものが迷子にならずに済むので、ラベリングは多用しています。いかに楽をするかということを、考えるわけです(笑)。

──なるほど。結果的に楽をするために、少し手間をかけるということですね。ところで、西口さんのお宅の食器棚は、上キャビネットの引き戸式の左隣に、開き戸の棚もありますね。そこには何が入っているのですか?

60㎝幅の開き戸の棚で、ここの上部には、使用頻度が低いパーティ用のお皿などを入れています。下部の棚には、お菓子や朝食用のコーンフレークなどを。

──次は、家電の配置について教えて下さい。

家電は、使用頻度の「高」「低」によって場所を決めています。
「高」の電子レンジ、ケトル、トースターは、手が一番届きやすい場所に置きたいので、メインの食器棚のカウンターの上に。
「低」のかき氷機、ジューサー、ミキサーなどは、メインの食器棚とは別の、キッチンの奥の棚に。
毎日使うコーヒーメーカーもここに置いていますが、これは大人しか使わないので、キッチンの奥でも良しとしています。
ちなみに、この棚は、家電の高さに合わせて業者さんに付けてもらいました。

家電1 家電2

──家電も、使いやすいようにまとめて収納しているのですね。このほかに、こまごまとしたものの収納はどうなさっていますか? たとえば、コンビニでうっかりもらってしまうプラスチックのスプーンとか……。

プラスチックのスプーン、フォーク、割りばしなど、家の外から自然と入ってくるものはたくさんありますよね。そういうものは、「バーベキューやキャンプのとき用」としてひとつのカゴに入れて、使用頻度「低」の家電置き場の、上部の棚に置いています。

そして、そのカゴに入りきらない分は思い切って処分します。そうしないと、もので溢れてしまいますから。

 

タイマーをセットして、平日に30分だけ片付けを

──調理器具はどこに片付けていらっしゃいますか?

ボウルや包丁、まな板などの流しで使うものは、シンクの下の引出しに収納しています。ここも、サイズがぴったり合うボックスで仕切って、調理器具は立てて収納。取り出しやすさを考えて、重ねて収納しないのが鉄則です。

シンク2

ちなみに、この一段下の引出しには、メラミンスポンジや排水口用の袋を、やはりボックスで仕分けして入れています。
どちらとも市販の袋から出しておき、それぞれをワンアクションですぐに取り出せるようにしていますね。使うたびに袋を開け閉めするのは手間ですから。

シンク下

コンロでよく使う鍋やフライパン、お玉やフライ返しはコンロの下に収納しています。サラダ油も、この場所です。これらは、縦長のファイルボックスに立てて収納。 そして、その下の引出しには、時々しか使わないたこ焼き機と、焼き肉用のプレートをしまっています。

コンロ下2

──すべてのものが、最適の場所に収納されていますね。西口さんのお話を聞いていると、よし片付けよう!と思うのですが、何から手を付ければいいのかわからない……と、二の足を踏んでしまう人もいるかもしれません。その場合、どうすればいいでしょう?

まずは、平日に30分、整理に取り組んでみるといいと思います。皆さん、仕事や家事、子育てなどで忙しく、まとまった時間は取れないと思いますし。ポモドーロ・テクニックという時間管理術によると、人が集中できる時間は30分だそうです。なので、夜寝る前などに30分だけトライしてみるといいのでは。

たとえば、片付けたい場所を「食器棚と冷蔵庫」と決めたら、月曜から金曜までそのエリアを1日に30分だけ整理します。そして、土曜と日曜は、整理を済ませた場所に使う収納グッズを買いに行って、収納する。このように時間配分をうまく行うといいと思います。

このときに大事なのは、片付けの際はキッチンタイマーをセットして、タイマーの「ピピピ!」という音が鳴るまでは作業に集中すること!この間は、テレビも見ない、LINEの着信があっても返信しない。そうしないと、30分はあっという間に過ぎてしまいますから。

この方法で、1週間に1ヶ所を片付けることが続ければ、3ヶ月後には12ヶ所を整理できることになります。
キッチンの場合、「食器棚と冷蔵庫」を1週間、「キッチンカウンター」を1週間で片付けられるとしたら、キッチン全体を計2週間で整えられることになります。

 

扉や引出しを、開ける勇気をもちましょう

──とてもわかりやすく整理収納方法を教えていただき、ありがとうございます。今回の実践編では、「使いやすい場所に、取り出しやすい状態で収納する」ことが大事だということがわかりました。

そうですね。そのためには、自分の動きを把握して、どうするのが一番使いやすいのかを知ることが必要です。

そして何よりも、「ものはしまっていたら、何をどれだけ持っているのかわからない」ことを知って、まずは皆さんに、扉や引出しを開ける勇気をもっていただきたいです(笑)。

綺麗な状態をいったん作ると、それを維持したいと思います。たとえば、コンビニの棚を見ると、ジュースはラベルが見える状態で並んでいますよね。そして、それを一度手に取って元に戻すとき、自然とラベルが見えるように戻しますよね。

その動作と同じで、ご自分の家の食器棚も、美しい状態を作るとそれを崩さずにキープしようと思うんです。片付けをすると、心も整理されますよ。
ぜひ、楽しみながら整理収納に取り組んでいただきたいです。

 

食器棚の収納『実践編』まとめ

  • 一番よく使うものは、目の位置の高さに置く
  • 子ども用のコップやお菓子の器は、子どもの目線の高さに
  • 食器を重ねるときは、形が似ているものを数枚まで
  • 同時に使うものは、同じ場所に「グルーピング」
  • 使用頻度の「高」「低」で、収納する引出しを決める
  • 引出しのなかはボックスで仕分ける。ボックスの購入は、サイズを計ってから
  • 元の場所に確実に戻すため、ラベリングを多用
  • プラ製スプーンや割りばしは、カゴに入りきらない分は処分
  • 調理器具は、使う場所の近くに
  • 平日に30分片付ければ、キッチン全体は2週間で整う
nishiguchi_prof取材協力:西口理恵子さん

株式会社インテリアR 代表取締役
1979年大阪生まれ、兵庫県芦屋市在住。

「モノの整理は、心の整理」。そのお手伝いをしたいとの思いから、2009年「インテリアR」を創業。整理収納・インテリア・美を総合した【美人収納®】考案者。全国の住宅・オフィスで直接指導している。
セミナー・講演の受講者は延べ17,000人超(2019年10月現在)。著書に「ずっと美しく暮らす シンプル収納の家づくり」その他多数。2019年に中国でも出版。Blog「1日1収納」は1日1万アクセス超。Blog・Instagram・Twitter等のSNS総フォロワー数1.4万人超。
プライベートでは2児との4人家族。時間整理も得意。”上質なワーク・ライフ・バランス”へのファンも多い。

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