整ったキッチン回りは、見た目にも美しく、共有する空間全体の印象を左右します。
どうしたら、そんなにすっきりとしたキッチンの美観を保つことができるのか?
決め手は、すばり「背面収納」にあります。
実用面だけでなく、デザイン性も兼ね備えた「背面収納」についてご紹介します。
そもそも「背面収納」とはどんなもの?
「背面収納」とは、キッチンに立った際、背面となる場所にある収納のことです。
過去にはリビングとキッチンが別の部屋、という間取りが主流でしたが、今はキッチンのあるダイニングキッチンとリビングが一体化しているケースがぐんと増えました。
核家族や共働き夫婦など、ともに過ごす時間が少なくなった生活の中、家族のコミュニケーションがとりやすい空間が人気というのが理由のひとつにあげられます。
また空間が繋がり広く見えるため解放感がある、というのもポイントでしょう。
その設計の場合、リビング側からダイニングを通してキッチン側へ目を向けたとき、目に入るのはキッチンです。
つまり、「キッチンに設置された背面収納(食器棚)がどのように見えるか」によって、キッチン全体の視覚的な印象が決まります。
このため、センスがよいご家庭では、ダイニング&キッチン空間の演出に大きな役割を担う「背面収納」選びに熱が入るわけです。
今や、「背面収納」は、収容能力だけではなく、見た目も重要な“デザイン家具”となりつつあります。
背面収納とは、主にどの位置に設置するもの?
「背面収納」のおもな設置箇所は、主に下記の2か所です。
①「キッチン内」
先述したキッチンに立った時の“背面”にあたる場所、ということでキッチン内に位置するケース。
食器棚、という概念に通じることを考えると、これがメインの設置場所となるのも頷けますね。
そのため、デザインもさることながら、収納や機能性の高さも外せない要素となります。
写真上/キッチン内に設置した「背面収納」。
キッチン(この場合は壁に接しているのでアイランド型キッチンではなくペニンシュラ型キッチンと呼びます)で作業するために立つと、まさに背面に位置する食器棚。
②「キッチン本体の背面」
少しわかりにくいかもしれませんが、キッチンに立った時の背中側ではなく、キッチン本体の背面=ダイニング側から見えるキッチン本体の側面、ということになります。
こちらは、収納量を増やす機能も重視されますが、オープンタイプの棚のようなデザインにものを設置し、“見せる収納”としたり、お気に入りのオブジェなどを飾ってギャラリーのように使用したりすることもできます。
キッチン内に背面収納を設置してあればそこでかなりの収納量を確保できるため、こちらのキッチン本体の背面の収納はそのぶん自由度が高まりますね。
写真上/白いアイランド型キッチン本体の背面。
つまり、リビングダイニング側に設置した「背面収納」。
本体手前のスペースを上手く生かした配置。写真のデザインは扉つきの収納となっているが、側面のようにオープン収納とすれば、見せる収納にもギャラリーにもなる。
キッチン本体よりも少し低くして段差を作ることで、壁面収納の天板部分がちょっとしたカウンタースペースにもなっている例。
キッチン内に置く背面収納のタイプについて
ここで、キッチン内に置く背面収納のタイプについてご説明します。
設置するスペースとの兼ね合いもあるため、その点を踏まえつつ、希望のスタイルを選ぶとよいでしょう。
①カウンタータイプ
背面収納を、上部の吊戸棚と下部分の台の2パーツに分けることで、下台の天板部分をカウンターとして広く使用できます。
家電を置くのはもちろん、調理場としても、複数調理中の鍋やボウルを置く場としても大活躍します。
カウンター下部分は引き出しや扉つきの収納場所として食器棚の役割を果たします。
既存キッチンのワークスペースが狭い場合には、このようなタイプを選ぶと便利ですね。
写真上/「カウンタータイプ」の背面収納。
ちょうどよい高さにレンジなど家電も置けるほか、カウンター部分を上手に生かせば、キッチンでの作業スペースも増える。
②多機能タイプ
下台上のカウンターに加えて収納棚も組み合わせたスタイルです。
釣り戸棚より低い位置の収納が増えるので、よく使うお皿などの食器を入れると作業がスムーズになります。
写真上/「多機能タイプ」の背面収納の一例。
カウンターも広く利用でき、手の届く高さに食器などを収納できるため、使い勝手がよい。
③たっぷり収納タイプ
キッチンスペースが広い、または横幅がある場合におすすめのタイプです。
幅は広く、例えば冷蔵庫横から壁一面に高さは天井まで、といったタイプです。
面積が広い分、奥行きが最低限確保できるだけでも、かなり多くの品を収納することができます。
前面クローズにして“徹底的に見せない収納”にすることもできます。
もちろん、オープンスペースを備え、扉や引き出しで隠すスペースもあれば、部分的に“見せる収納”も実現し、抜け感のあるお洒落な見せ方を楽しむことも可能です。
写真上/「たっぷり収納タイプ」。
壁面と一体化するようなイメージで、スタイリッシュにも演出できる。
面積があるぶん、奥行きを多少スリムにしてもかなりの収納力を持つ。
背面収納にはさまざまな種類があります。
それぞれにメリットのある背面収納。どのタイプを選べば、スペースに合った求める機能性を保持するベストな品に出会えるか、ぜひ楽しみながら検討してみてください。
「背面収納」に収納する際、意識すべきポイントは?
ここからは、より具体的なお話をします。
「背面収納」にものを収納する際、どこに何を収納すると作業効率がよいか、という点です。
留意すべきポイントがいくつかあるので、順番に触れていきます。
【上段】軽くて使用頻度が低い物を収納しましょう
収納棚上部は、人によっては台に乗らないと手が届かない、という事態も発生します。
そのため、毎日使う品ではなく、使用頻度の限られた品(未使用の食器、保存容器、ラップの予備など備蓄品)を収納しましょう。
また、地震などを含め、万が一落下してきた場合に備えて、重量の少ないものを選びましょう。
【中段】使用頻度の高い物を収納しよう
収納棚中段は、もっとも手が届きやすい位置。
毎日使う等使用頻度の高い品(普段使いの食器、グラスなど)を収納しましょう。
作業効率がよく、家事の時短にも繋がります。
【下段】重い物、使用頻度の低い物を収納しよう
収納棚下段には、鍋など重い調理器具、そして使用頻度が低いもの、例えば来客用の大皿、ゴミ箱(収納型の物)などを収納しましょう。
ゴミ箱は、キッチンにスペースがあれば使いやすいサイズのものを置けますが、ゴミ箱を隠したい又はスペースがない、という場合には収納棚を幅広めに設置し、そこに収めてしまうというのもひとつの方法です。
「どこで作業をするか」を意識して収納する物を決めましょう
導線を意識することも大切です。
買い物した物を収納するところから、下ごしらえ、料理、盛りつけ、配膳、後片付け、ゴミ捨てといった作業の流れを意識して収納を考えましょう。
基本的に、キッチン内の背面収納には食器やカトラリー、ストック用品を入れるのがおすすめです。
フライパンや包丁などの調理器具はキッチンの作業スペースに収納すると最小限の動きで作業ができます。
また、上段でも下段でも、手が届きやすい範囲には使用頻度が高い物を置くのが基本です。
レンジや炊飯器といったよく使う家電も使いやすい位置を意識しましょう。
背面収納にものを入れる際は、高さによる適正、効率のよい作業導線、これらを考慮することが重要です。
収納する前に、イメージしてみてください。
「背面収納」を選ぶ際のポイントは?
この章では、「背面収納」を選ぶ際のポイントを解説します。
収納すべき既存のキッチン用品と、新規で購入する予定のアイテムを把握しましょう
「背面収納」を選ぶ際、根拠のないイメージと理想像だけで決めてしまうのはリスキーです。
すでに愛用しているキッチン用品にもそれぞれサイズがありますね。
大きさだけでなく、既存の収納すべきアイテムの量はどのくらいありますか?
これから新規で購入予定の家電や、少しかさばる品はありますか?
今選ぼうとしている背面収納の収総量と、あなたが収納しようとしているすべての品の総量は、一致していますか?
これを無視してしまうと、せっかく選んだ背面収納が納得のいく役割を果たさないという可能性があるので要注意です。
押さえておきたいポイントを下記にあげてみました。
①サイズ
既存または新規のキッチンアイテムのサイズが収納可能かどうか。これがもっとも重要なポイントです。
せっかく設置した背面収納に、お気に入りのお皿が入らない!というようなことがないように注意しましょう。
②使用頻度
場合によっては日に複数回使用するアイテムを、取り出しやすい場所に収納できるデザインか。
いちいち取り出すのに面倒くさい位置にしか収納できない場合、そのストレスは想像以上のものとなります。
大丈夫そうですか? 想像してみてくださいね。
③収納物と収納棚の容量
収納棚の総収納容量と、あなたが収納しようとしているアイテムの総量のバランス。
どこになにをしまうか、そう予定している場所のスペースが、収納物に対して十分かどうか。これも忘れないようにチェックしてください。
思ったより収納量が少なくて、手持ちのキッチン用品を入れる場所がない……という事態が起こらないように、事前に確認しておくことをおすすめします。
上記のように、既存の収納予定物をもとに、選ぶべき「壁面収納」のサイズやデザインの具体的なイメージが自ずと絞られてくるものなので、ぜひこういったアプローチも参考にしてみてください。
写真上/日々使う食器類は中段に、重いものは下に。
そして、手持ちのキッチンアイテムがきちんと収まるかどうか事前に考えてみることが重要です。
デザイン面では、どのポイントにこだわると選びやすい?
ここまで、収納にフォーカスしたお話をしてきました。
ここからはみなさんが特に注目するデザインについて選び方を紹介していきます。
①色はどう選ぶとよいか?
冒頭で、ダイニングキッチン、リビングとの空間シェアといった住空間の変化が起きている今、「背面収納」はデザイン家具ともいえる扱いになってきた、とお伝えしました。
そう考えると、色選びは空間のイメージを左右する最も大きな要素といえるかもしれません。
設置空間をできるだけ広くスマートな印象に仕上げたいのであれば、壁の色、キッチン本体の色とのバランスを最優先するのがおすすめです。
同じ色、同じ色の濃淡、色の方向性を合わせれば、背面収納は空間になじみ、空間をすっきり広く見せることに一役買ってくれるでしょう。
その次に考慮するとしたら、床の色、そして共有する空間のトーンです。
背面収納を離れた場所から見るときに、同時に視界に入る空間全体の色のバランスを配慮することが大切です。
写真上/全体をベージュでカラーコーディネート。ひとつの世界観で統一されている。
写真上/背景も含めモノトーンでまとめたカラーコーディネート。モダンな印象。
②素材はどう選ぶとよいか?
いちばんのポイントは、キッチン本体のマテリアルがどのような素材感か確認することです。
キッチン本体と色や色のトーンを合わせても素材感が悪いほうへ異なると、場合によってはその不統一さにより、妙な違和感をおぼえることもあります。
同じ色調でキッチン本体が艶ありなら背面収納も艶あり、キッチン本体が艶無しならば背面収納も艶無し。というように、揃えておくほうが統一感を出すことができるため安心です。
また、最近人気のダークカラーの背面収納に関していうと、収納棚扉の面材が黒やスモークなど濃色の色付き面ガラスのものも増えています。
棚の中に細いLEDが設置されていて、収納物をうっすら浮かびあがらせて見せる、お店のショーケースのような演出も見かけるようになりました。
このようなデザイン面が気に入って選ぶ場合も、今までお伝えしてきた最低限必要なポイント(収納量や空間との色バランス)を忘れないようにしましょう。
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まとめ
背面収納を活用することで空間を最大限に生かし収納力を上げることができます。
家は、どんな時でも必ず帰る場所です。
せっかく新しい背面収納を購入するのであれば、抑えるべきポイントを知り、120パーセント満足のいく、美しくて使いやすい背面収納をさがしましょう。